解任された役員が、解任による損害賠償と役員退職慰労金とを同時に請求する方法

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解任による損害賠償と役員退職慰労金の同時の請求に関するメインのページです。本ページは、役員退職慰労金の請求と解任の損害賠償とが別個の請求権である点と着手の順序をご説明します。退任の態様ごとの扱いは別のページをご参照ください。
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- 解任された役員が、解任による損害賠償と役員退職慰労金とを同時に請求する方法
- 結論 二つは別個の請求権です。二重取りにはなりません
- 退任の態様を確定する 解任、辞任、任期満了及び不再任
- 役員退職慰労金の請求 解任であっても支給の根拠は失われません
- 解任による損害賠償の請求 正当な理由の有無
- 「自己都合の辞任だから支払わない」と言われた場合
- どちらから着手するか 時間、費用及び証拠の観点
- 本サイトと役員解任トラブルを扱うサイトとの役割の分担
- 会社が述べる主張の類型と、これに対する検討の視点
- 案件で確認すべき事項
- 弁護士にご相談いただく意味
- よくあるご質問
- まとめ
- 本記事における非開示事項について
- 弁護士法人M&A総合法律事務所へのご相談
- 本記事の根拠条文
- 関連するご案内
解任された役員が、解任による損害賠償と役員退職慰労金とを同時に請求する方法
株主総会において解任され、あるいは辞任届に署名するよう求められて退任された元役員から、「解任を争うべきか、金銭を請求すべきか」というご相談をお受けします。会社からは「解任には正当な理由がある」「自己都合の辞任だから役員退職慰労金は支払わない」と告げられていることが少なくありません。本記事では、会社法第339条第2項の解任による損害賠償と、役員退職慰労金とが別個の請求権であることを整理し、どちらをどの順序で進めるかの判断の枠組みを示します。
結論 二つは別個の請求権です。二重取りにはなりません
役員退職慰労金の請求権と、解任による損害賠償の請求権とは、発生の根拠も要件も異なる別個の権利です。したがって、両方を同時に請求することができます。
| 項目 | 役員退職慰労金 | 解任による損害賠償 |
|---|---|---|
| 根拠 | 会社法第361条第1項(報酬等)。支給規程、株主総会の決議、個別の合意又は支給の慣行により具体化されます | 会社法第339条第2項 |
| 性質 | 在任中の職務執行の対価の後払としての性質を有すると解されています | 解任により生じた損害の賠償 |
| 主張を要する事実 | 退任の事実、支給の根拠、算定の基礎 | 解任されたこと、正当な理由がないこと(正当な理由の存在は会社の側が主張します)、損害の発生及び額 |
| 退任の態様との関係 | 解任、辞任、任期満了のいずれであっても、支給の根拠が失われるわけではありません | 解任の場合に限られます |
| 消滅時効 | 民法第166条第1項第1号により、権利を行使することができることを知った時から5年 | 同左 |
両者は請求権の性質が異なりますので、双方を請求することが二重取りとなるわけではありません。もっとも、損害額の算定において、既に受領した金銭が考慮される余地は残ります。この点は事案により判断が分かれ得ますので、請求の組み立ての段階で意識しておきます。
退任の態様を確定する 解任、辞任、任期満了及び不再任
最初に行うのは、退任の態様の確定です。会社が「辞任」として処理している一方、実質は解任であるという場合があります。登記の記載と実際の経緯とを照合します。
| 態様 | 内容 | 登記の記載 | 第339条第2項の損害賠償 |
|---|---|---|---|
| 解任 | 株主総会の決議により任期の途中で退任させられたものです | 解任 | 対象となります(正当な理由がない場合) |
| 辞任 | 自らの意思により退任したものです | 辞任 | 原則として対象となりません。ただし辞任の意思表示に瑕疵がある場合には別に検討します |
| 任期満了 | 任期の満了により退任したものです | 退任 | 対象となりません |
| 不再任 | 任期の満了に際して再任されなかったものです | 退任 | 原則として対象となりません |
| 解任の決議に瑕疵がある場合 | 招集手続又は決議の方法に法令又は定款の違反があるものです | 解任 | 決議取消しの訴え(会社法第831条第1項)の対象となります |
確認する資料は、株主総会の招集通知、株主総会議事録、解任又は辞任の登記の後の商業登記事項証明書、辞任届の原本、及び退任に至る経緯を示す電子メール、通信文その他の記録です。
辞任届に署名させられたという場合には、その経緯を示す資料が決定的な意味を持ちます。署名を求められた日時、場所、その場にいた者、告げられた内容を、記憶が鮮明なうちに時系列により書き留めておくことをお勧めします。
なお、任期の残存期間は、定款の定め及び選任の決議の日により算出します。非公開会社では定款により任期を10年まで伸長することができます(会社法第332条第2項)ので、定款の確認は欠かせません。
役員退職慰労金の請求 解任であっても支給の根拠は失われません
会社から「解任されたのだから役員退職慰労金は出ない」と告げられることがあります。しかし、解任されたという一事により、役員退職慰労金の請求権が当然に失われるわけではありません。役員退職慰労金は在任中の職務執行の対価としての性質を有するものと解されており、その根拠は、支給規程、株主総会の決議、個別の合意又は支給の慣行にあります。
| 支給の根拠 | 解任の場合の扱い | 確認する点 |
|---|---|---|
| 支給規程がある | 規程の定める支給の要件を満たすかを確認します | 規程に解任の場合の不支給又は減額を定める条項があるか |
| 株主総会の決議がある | 決議により具体的な請求権が発生していますので、その後の解任により消滅するものではありません | 決議の日と解任の日との前後 |
| 個別の合意がある | 合意の内容によります | 合意に解除条件が付されているか |
| 支給の慣行がある | 同種の退任者に対する取扱いとの均衡を検討します | 過去に解任された役員に対する取扱いの実績 |
規程に不支給条項が置かれている場合には、その条項の適用の可否を検討します。検討の視点は次のとおりです。第1に、条項が定める要件に当たる事実が現に存在するか。第2に、その事実の有無について会社が具体的に主張し、資料を示しているか。第3に、条項の適用による効果、すなわち全部の不支給が相当といえるか。
解任の理由と、不支給の理由とは、区別して検討します。解任は株主総会の裁量により行うことができるものですが(会社法第339条第1項)、役員退職慰労金の不支給は、支給の根拠となる規程又は決議の解釈の問題です。「解任された」ことそれ自体は、不支給の根拠にはなりません。
なお、支給の決議がされていない場合には、まず決議を求めることから始めます。その道筋は役員退職慰労金の株主総会決議がされない場合に請求する道筋のページに整理しています。
解任による損害賠償の請求 正当な理由の有無
会社法第339条第1項は、役員はいつでも株主総会の決議によって解任することができる旨を定めます。他方、同条第2項は、解任について正当な理由がある場合を除き、解任された者が会社に対し解任によって生じた損害の賠償を請求することができる旨を定めます。
| 論点 | 内容 | 留意する点 |
|---|---|---|
| 解任の決議の要件 | 取締役の解任は普通決議によります(会社法第341条)。監査役の解任は特別決議によります(会社法第343条第4項、第309条第2項第7号) | 監査役の解任について特別決議を欠く場合には、決議の効力そのものを争う余地があります |
| 正当な理由 | 職務の執行に関する不正の行為、法令又は定款に違反する重大な事実、心身の故障、著しい経営上の失当等が挙げられます | 個別の事案ごとに判断されます。単に経営方針が対立したというだけで正当な理由が認められるとは限りません |
| 主張及び立証 | 正当な理由があることは、会社の側が主張することとなります | 会社が挙げる理由を書面により特定させることが第一歩です |
| 損害の範囲 | 解任がなければ得られたはずの利益が中心となります | 残存する任期の期間及びその間の報酬の額が算定の基礎となります。役員退職慰労金の増加分を含めて主張するかは、事案により検討します |
| 消滅時効 | 民法第166条第1項第1号により5年 | 解任の日から進行するものとして管理します |
「正当な理由」の有無は、会社が挙げる事実の当否により決まります。したがって、まず会社に対し、解任の理由となる事実を具体的に特定するよう書面により求めます。回答がない場合、又は抽象的な回答にとどまる場合には、その事実自体を後の主張において指摘します。
健康上の理由により職務の遂行が困難であった場合、及び経営上の判断の結果として著しい損失が生じた場合には、正当な理由が認められる余地があります。他方、支配株主との対立、後継者への交替の意向といった事情は、それ自体では正当な理由とはなりにくいものです。
当事務所は、個別の事案における解任が違法であると断定することはいたしません。会社が挙げる理由と、これに対応する資料とを照らし合わせ、見通しを率直にお伝えします。
「自己都合の辞任だから支払わない」と言われた場合
退任の登記が「辞任」とされている場合であっても、実質が解任又は退任の強要であることがあります。この場合には、辞任の意思表示の効力そのものを検討します。
| 主張 | 要件 | 根拠 | 必要となる資料 |
|---|---|---|---|
| 錯誤による取消し | 法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要な錯誤があり、表意者に重大な過失がないこと | 民法第95条第1項・第3項 | 辞任の際に告げられた内容と実際との相違を示す記録 |
| 詐欺による取消し | 相手方の欺罔行為により錯誤に陥ったこと | 民法第96条第1項 | 同上 |
| 強迫による取消し | 畏怖により意思表示をしたこと | 民法第96条第1項 | 面談の日時、場所、同席者、告げられた内容の記録 |
| 意思表示の不存在 | 署名を求められた書面の内容を認識していなかったこと | ― | 書面の体裁、署名の状況に関する記録 |
| 実質的な解任としての取扱い | 形式は辞任であっても、実質は会社の意思により地位を失わせたものであること | 会社法第339条第2項 | 退任に至る経緯の全体を示す記録 |
これらの主張は、いずれも事実の裏付けを要します。そこで、退任の直後の段階で、経緯を時系列により記録し、関係する電子メール、通信文、録音その他の資料を保全しておくことが決定的に重要となります。時間が経過するほど、記録は失われます。
なお、辞任の効力を争うことと、役員退職慰労金を請求することとは、両立します。辞任の効力を争いつつ、支給規程に基づく請求を並行して進めることは可能です。むしろ、辞任の効力を争う手続には時間を要しますので、金銭の請求を先行させることが合理的な場合が少なくありません。
どちらから着手するか 時間、費用及び証拠の観点
解任を争う手続と、金銭を請求する手続とは、要する時間、費用及び立証の負担が異なります。次の観点から順序を決めます。
| 観点 | 役員退職慰労金の請求 | 解任による損害賠償の請求 | 地位を争う手続 |
|---|---|---|---|
| 期間の制限 | 消滅時効は5年(民法第166条第1項第1号) | 同左 | 決議取消しの訴えは決議の日から3か月(会社法第831条第1項) |
| 立証の負担 | 支給の根拠を示せば足りることが多いものです | 正当な理由がないことをめぐる攻防となり、負担が重くなります | 決議の瑕疵の立証を要します |
| 要する期間 | 比較的短期に解決することがあります | 争点が多く、長期化しやすいものです | 同左 |
| 費用 | 請求額に応じます | 同左 | 別途の負担が生じます |
| 着手の優先度 | まず着手すべきものです | 資料の収集と並行して検討します | 期間の制限が短いため、争うのであれば直ちに判断を要します |
実務上の順序としては、第1に、時効の完成を猶予させるための催告(民法第150条第1項)を行い、あわせて資料の開示を求めます。第2に、役員退職慰労金の請求を進めます。第3に、解任の理由に関する会社の説明を得たうえで、第339条第2項の請求の見込みを判断します。
ただし、決議の効力そのものを争うのであれば、3か月の期間の制限がありますので、この判断のみは先行して行う必要があります。地位の回復を望まれるか、金銭による解決を望まれるかを、早い段階で確認します。
本サイトと役員解任トラブルを扱うサイトとの役割の分担
当事務所は、解任をめぐる問題について、二つのサイトにより情報を整理しています。
| 場面 | 担当するサイト | 扱う内容 |
|---|---|---|
| 役員退職慰労金及び未払の役員報酬の請求 | 本サイト(役員退職慰労金の徹底回収) | 支給の根拠の確定、金額の算定、請求の手続、回収 |
| 解任の適法性、地位の確認、解任の撤回、仮処分 | 役員解任トラブルを扱うサイト | 地位そのものの争い |
| 残存する任期に対応する報酬相当額の損害の算定 | 同上 | 損害額の算定の詳細 |
| 解任による損害賠償と役員退職慰労金との関係 | 本ページ | 二つの請求権の切分けと着手の順序 |
解任そのものの争い方及び残存任期に対応する損害の算定については、次の各ページをご覧ください。
本サイトでは、損害額の算定を深く掘り下げることはいたしません。本サイトが代表するのは、役員退職慰労金を現実に支払ってもらうことです。
会社が述べる主張の類型と、これに対する検討の視点
解任に伴う役員退職慰労金の交渉においては、会社の側から一定の類型の主張がされます。あらかじめ想定しておくことにより、資料の準備が的確になります。
| 会社の主張 | 検討の視点 | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 解任されたのだから支給しない | 解任は地位に関する事柄であり、役員退職慰労金の支給の根拠とは別の問題です。規程又は決議に不支給の根拠があるかを確認します | 支給規程、株主総会議事録 |
| 自己都合の辞任である | 登記上の記載と実際の経緯とを照合します。辞任の意思表示に瑕疵がある場合には、その効力を検討します | 辞任届、退任に至る経緯の記録 |
| 在任中に会社に損害を与えた | 損害の発生、額及び因果関係について、会社が具体的に示しているかを確認します。全部の不支給という効果の相当性も別に検討します | 取締役会議事録、内部調査に関する資料、会計資料 |
| 支給の決議をしていない | 決議を求める手続を検討します。規程が存在し支給の基準が一義的である場合には、規程に基づく請求を組み立てます | 支給規程、招集通知、議事録 |
| 解任には正当な理由がある | 正当な理由の存在は会社の側が主張すべき事柄です。理由となる事実の特定を書面により求めます | 会社の回答書、指摘された事実に関する資料 |
| 既に和解が成立している | 和解の内容と範囲を確認します。役員退職慰労金が対象に含まれているか、清算条項の文言はどうかを検討します | 和解書、合意書 |
いずれの類型についても、最初に行うのは会社に対する書面による照会です。口頭のやり取りのみで進めると、後に会社が主張を変更することがあります。書面により回答を得ておくことにより、争点が固定され、その後の手続が円滑になります。
案件で確認すべき事項
ご相談の前に、次の各点を確認していただけますと、見通しを速やかにお伝えできます。
| 確認する事項 | 確認の方法 |
|---|---|
| 退任の日及び登記上の事由 | 商業登記事項証明書により、解任、辞任、退任のいずれと記載されているかを確認します |
| 任期の残存期間 | 定款の任期に関する定め及び選任の決議の日から算出します |
| 株主総会の招集手続 | 招集通知の有無、通知の時期、記載された議題を確認します |
| 決議の方法 | 議事録により、出席した株主の議決権の数及び賛否の数を確認します。監査役の解任については特別決議を経ているかを確認します |
| 解任の理由として会社が挙げる事実 | 書面により特定を求め、回答を保存します |
| 辞任届の作成の経緯 | 署名を求められた日時、場所、同席者、告げられた内容を時系列により記録します |
| 役員退職慰労金支給規程の有無 | 写しを入手します。入手できない場合には開示を求めます |
| 規程中の不支給又は減額の条項 | 条項の文言と、適用の要件を確認します |
| 過去の支給の実績 | 同種の退任者に対する取扱いを、計算書類等により確認します |
| 直近3期の役員報酬の額 | 源泉徴収票、計算書類、報酬の決定に係る議事録により確認します |
弁護士にご相談いただく意味
解任の場面では、次の点において判断を要します。
第1に、順序の判断です。地位を争うのか、金銭による解決を図るのかにより、採るべき手続と期限が異なります。決議の効力を争うのであれば3か月の期間の制限がありますので、早い段階での判断を要します。
第2に、請求権の切分けです。役員退職慰労金と解任による損害賠償とを混同したまま請求すると、争点が拡散し、いずれについても判断が遅れます。請求書の段階から明確に分けて記載します。
第3に、会社の説明の引出し方です。「正当な理由」も「不支給の根拠」も、会社が主張すべき事柄です。書面により特定を求め、回答を確保することが、後の主張の基礎となります。
第4に、証拠の保全です。辞任の経緯、解任に至る社内の動き、株主総会の実際の進行は、時間の経過とともに確認が困難になります。退任の直後に着手することの意味は大きいものです。
第5に、他のサイトとの連携です。地位の争いを含む場合には、当事務所の役員解任トラブルを扱う部門とあわせて対応します。
よくあるご質問
質問1 解任されました。役員退職慰労金は請求できないのですか。
解任されたことのみを理由として請求権が失われるわけではありません。支給規程、株主総会の決議、個別の合意又は支給の慣行のいずれかに根拠を求めることができるかを確認します。
質問2 解任による損害賠償と役員退職慰労金の両方を請求できますか。
両者は別個の請求権ですので、双方を請求することができます。ただし、損害額の算定において受領した金銭が考慮される余地は残ります。
質問3 規程に「解任された場合は支給しない」と書かれています。
条項が定める要件に当たる事実が現に存在するか、会社がその事実を具体的に示しているか、全部の不支給という効果が相当かを、順に検討します。
質問4 辞任届に署名してしまいました。
署名に至る経緯によっては、錯誤又は強迫による取消しを主張する余地があります。日時、場所、同席者、告げられた内容を記録し、関係する資料を保全してください。
質問5 解任の決議を取り消したいのですが、いつまでに手続をとる必要がありますか。
株主総会の決議の取消しの訴えは、決議の日から3か月以内に提起する必要があります(会社法第831条第1項)。判断は早期に行ってください。
質問6 監査役を解任されました。取締役の場合と違いはありますか。
監査役の解任には株主総会の特別決議を要します(会社法第343条第4項、第309条第2項第7号)。特別決議を経ていない場合には、決議の効力そのものを争う余地があります。
質問7 解任されてから3年が経過しています。まだ請求できますか。
消滅時効の期間は原則として5年です(民法第166条第1項第1号)。速やかに催告を行い、時効の完成を猶予させたうえで請求を進めます。
まとめ
本記事の要点は次のとおりです。第1に、役員退職慰労金の請求権と、会社法第339条第2項の解任による損害賠償の請求権とは、根拠も要件も異なる別個の権利であり、同時に請求することができます。第2に、最初に行うべきは退任の態様の確定です。登記の記載と実際の経緯とを照合し、形式が辞任であっても実質が解任である場合を見落とさないようにします。
第3に、解任されたという一事により役員退職慰労金の請求権が失われるわけではありません。規程に不支給条項がある場合には、要件該当性、会社による事実の特定、及び効果の相当性を順に検討します。第4に、解任について正当な理由があることは会社の側が主張すべき事柄ですので、まず書面により理由の特定を求めます。
第5に、着手の順序は、時効の管理、立証の負担及び期間の制限を踏まえて決めます。決議の効力そのものを争うのであれば、決議の日から3か月という制限がありますので、この判断のみは先行させます。第6に、地位そのものの争いと損害額の算定は当事務所の役員解任トラブルを扱うサイトが、役員退職慰労金の回収は本サイトが、それぞれ担当します。
本記事における非開示事項について
解任の理由の特定を会社に求める書面の組み立て方、辞任の効力を争う場合の主張の順序、地位の争いと金銭の請求とを並行させる際の進め方、及び和解の条件の設計は、株主構成、機関設計、財務状況、従前の経緯等により異なり、当事務所が実務において蓄積してまいりました知見に属しますので、公開していません。
弁護士法人M&A総合法律事務所へのご相談
弁護士法人M&A総合法律事務所(代表弁護士 土屋勝裕)では、解任又は退任の強要に伴う役員退職慰労金の未払に関するご相談をお受けしています。当事務所は、役員の側の代理人となる案件も、会社の側の代理人となる案件も取り扱っており、この分野に精通していることから当該分野を取り扱っています。
- 電話番号 03-6435-8418
- ご相談は事前予約制です
ご相談に際しましては、株主総会招集通知、株主総会議事録、商業登記事項証明書、定款、辞任届の写し、役員退職慰労金支給規程の写し、退任前の役員報酬の額が分かる資料、及び会社との往復の書面をお持ちください。お手元になくてもご相談をお受けしています。課税関係につきましては税理士にご確認ください。
弁護士費用につきましては、弁護士費用一覧のページをご覧ください。
本記事の根拠条文
会社法 第309条第2項第7号(監査役の解任に係る特別決議)、第318条第4項(株主総会議事録の閲覧謄写)、第330条(株式会社と役員等との関係)、第332条第2項(取締役の任期の伸長)、第339条第1項(役員の解任)・第2項(解任された者の損害賠償の請求)、第341条(役員の選任及び解任の株主総会の決議)、第343条第4項(監査役の解任)、第361条第1項(取締役の報酬等)、第371条第2項・第3項(取締役会議事録の閲覧謄写)、第379条第1項(会計参与の報酬等)、第387条第1項(監査役の報酬等)、第442条第3項(計算書類等の閲覧等)、第831条第1項(株主総会等の決議の取消しの訴え)、第915条第1項(変更の登記)
民法 第95条第1項・第3項(錯誤)、第96条第1項(詐欺又は強迫)、第150条第1項(催告による時効の完成猶予)、第166条第1項第1号(債権等の消滅時効)、第643条(委任)、第644条(受任者の注意義務)、第651条第1項(委任の解除)
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